USBセンサを使ってみよう 〜Phidgets活用講座 応用編 (3)〜
作成日: 2006/10/11  最終更新日: 2006/10/11



概要

このページの内容は,Software Design 2006年4月号 pp.92-99に掲載された, 「USBセンサを使ってみよう Phidgets活用講座(4)」をHTML化したものです.分量が多いため,三つのページに分割してあります.本文中の「現在」などは「2006年2月」を指します.

ここでは,体重計(PhidgetWeightSensor)を応用した健康管理システム「PhidgetHealth」の応用と,実生活での利用例について説明します.USBセンサを使ってみよう(PhidgetHealth編)も参考にしてください.

連載目次




PhidgetHealthの応用
1. はじめに

これまで見てきたように,PhidgetHealthの基本的な機能は,体重を自動的に蓄積し,その履歴を手軽にグラフ化して閲覧できるというものです.一方,これらは少し高機能なデジタル体重計にも備わっている機能でしょう.

そこで,ここではPhidgetHealthのより応用的な利用方法として,「体重と食事履歴の比較」,「Webサービスとの連動」について紹介したいと思います.

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2. 体重と食事履歴の比較

現在,カメラ付携帯電話の普及に伴い,デジタル写真を撮影する頻度が格段に増えてきました.その一環として,毎日の食事を撮影している人も多いのではないかと思います.(筆者もその一人です.) そしていうまでもないことですが,体重を中心とした健康管理と食生活は密接な関係を持っています.

そこで,前述した体重履歴のグラフと,日々の食事の写真を同期して参照できるシステムを製作してみました(図1).

図1 体重と食事履歴の同期表示

まず,携帯電話などで撮影した食事の画像を特定のフォルダ(e.g. [実行ディレクトリ]\photo)に入れておきます.次に,各画像のサムネイルを作成するとともに,各画像の撮影日をファイルのタイムスタンプから取得します. そして,グラフ上のマウスカーソルの位置に応じて,該当する日付を逆算し,当日撮影された食事画像をグラフの右側に表示します.

具体例として,筆者の正月三が日の体重履歴と食事画像を表示した例を図2に示します. 毎日おせちや鍋,ケーキなどを食べている様子とともに,体重も気持ち(?)増加している様子がみてとれます.

図2 筆者の三が日の体重履歴と食生活
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3. Webサービスとの連動

現在,はてなグラフBlogMeterをはじめとして,日記やBlog上で手軽にグラフを公開するサービスが登場しています.

これらのWebサービスとPhidgetHealthと連動して利用することで,体重が日々Web上に更新されるため体重管理に緊張感が生まれる,などの効果が期待できそうです.

残念ながら,本稿執筆時点では,これらのサービスはAPIを公開しておらず,体重計測時に自動的にWeb上のグラフを更新することは難しそうです.

そこで,ここでは暫定的な方法として,CSV形式で日付/体重のリストをエクスポートし,はてなグラフにアップロードすることでWeb上のグラフを製作してみました.

まず,「体重計」タブの「エクスポート」ボタンを押すことで,リスト1に示すようなフォーマットのCSVファイルが生成されます.このCSVファイルを,はてなグラフの編集画面からアップロードすることで,図3に示すようなグラフが簡単に生成され,はてなダイアリーやブログなどで容易に再利用することができます.詳細は,はてなグラフのヘルプを参照してください.

リアルタイムにグラフを更新ができないのが残念ですが,はてなのサービスは改良頻度が早いため,今後のAPI公開に期待したいと思います.

 日付,体重
 2006/2/1,57.1
 2006/2/2,57.3
 2006/2/3,57.6
 2006/2/4,57
 2006/2/5,56.3
 2006/2/6,57.2
 2006/2/7,56.8
 2006/2/8,57.6
 2006/2/9,56.7
 2006/2/10,57.5
 2006/2/11,58.7
 2006/2/12,57.7
 2006/2/13,55.8
 2006/2/14,54.1
 2006/2/14,53.6
リスト1 エクスポートされるCSVファイルの一例

図3 はてなグラフの表示例
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4. まとめ

今回は,日曜ユビキタス環境を構築する一例として,体重計(Phidget WeightSensor)を応用した健康管理システム「PhidgetHealth」を構築しました.

PhidgetHealthは単に体重履歴を保存/閲覧するだけに留まらず,体重履歴を食事写真やWebサービスと組み合わせることで,新 しい健康管理システムを模索する試みです.今後,USB万歩計や脈拍計なども導入すれば,より多面的な健康管理システムを作ることもできるでしょう.

こうしたさまざまなセンサとメディアを組み合わせたシステムを手軽に実現できる点が,日曜ユビキタス環境の醍醐味といえるかもしれません.

次回は,本連載の最終回として,PhidgetsとPhidgetServerを利用して,未来の生活を描くさまざまなプロトタイプシステムを構築する様子について紹介したいと思います.

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コラム 日常生活場面への設置

前回紹介したPhidgetApplicationは既存のPCのインタフェースを拡張することを目的としたシステムでした.一方,PhidgetHealthは,日常的に活用できる健康管理システムを指向しているため,どのように生活空間に設置するかも重要になります.

その一例として,筆者は自宅の洗面台にPhidgetHealthシステムを設置してみました(図4).洗面台は歯磨き/洗顔/整髪などのために毎日一定時間立ち止まる場所であり,体重計を利用するには最適な場所だと思われます.

ホストPCは小型で目立たないものが望ましいため,手元にあった旧型のTablet型PC(Compaq TC1000)を利用しています.そして,PhidgetWeightSensorを洗面の足元に,PhidgetRFIDを暫定的にPCの手前に設置し ています.(* 筆者は一人暮らしなので,実用的にはRFIDは必要なさそうです.)

このように,PhidgetHealthは日常生活空間のちょっとしたスペースにも,比較的容易に設置できます.


図4 PhidgetHealthの設置例
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