カッティングマシンを使ってみよう
作成日:2005/5/31 最終更新日: 2005/5/31



◆概要

ここでは,立体的なポップやパンフレット,立体絵本や折り紙建築などの製作に活用できるカッティングマシン,CraftRobo CC100-20(by GRAPHTEC)について,製作例を示しながら紹介します.




◆CraftRobo CC100-20

CraftRobo CC100-20(以下CraftRobo)は,デスクトップに気軽に置ける小型で安価なカッティングマシンです.図1のように,A4プリンタを一回り小さくしたような外観(368mm×160mm×105mm)で,主にA4サイズ以下の用紙をカットすることができます.標準小売価格は49,800円,実売価格は40,000円程度でした(2005年5月現在).

図2にカッティングの簡単なサンプルを示します.単純な切取り線だけではなく,複数の折線(点線カット)をつけることができます.また,CraftRoboにはトンボの自動読取機能が搭載されており,事前にイラストなどをトンボを付加して印刷することで,印刷位置に正確にあわせたカッティングを行うことが可能です.

図1 CraftRobo外観 図2 カッティングのサンプル



◆カッティングの製作例

ここでは,CraftRoboを利用したシンプルなカッティングの製作事例を紹介します.製作するサンプルは上記の図2に示すペーパークラフト(?)です.

1.データ製作

まず,CraftRoboでカッティングするデータ(切取線,折線など)と,印刷用のデータを製作します.データの製作方法は,主に以下の二種類が存在します.

  1. CraftRobo付属の専用ソフトで製作する.
  2. Adobe Illustratorで製作する.(Illustrator ver8,9,10,CSに対応したプラグインが付属)

ここでは,製作効率に優れた2のIllustratorによる方法を用います.

図3に,Illustratorを用いたデータ製作例を示します.

  1. カッティングするデータを,線種毎に別のレイヤーに分けて製作します.
  2. 印刷用のデータを製作します.(カッティングのみを行う場合は必要ありません.)
  3. CraftRoboのプラグインを利用してトンボを追加します.カッティングはトンボの範囲内しか行えないので,適宜データの配置を調整します.
  4. カッティング用データのレイヤーを不可視にして,印刷用データとトンボを通常のカラープリンタで印刷します.用紙は,ここでは純正用紙(クラフトマルチ台紙つきカード)を利用します.(通常のプリンタ用紙や画用紙なども使えるようです)

図4に,印刷したデータの外観を示します.

図3 Illustratorによるデータ製作例 図4 トンボ&イラストの印刷
2.カッティングの準備

次に,カッティングの準備を行います.

  1. CraftRoboプラグインを利用して,レイヤー毎にカッティング線種を設定します(図5).線種は大きく分けて,カット線(切取)と,折線(点線切取)から選択できます.このうち,折線のパターンを,細かく設定することも可能です(図6).
    ※ 折線の最小間隔は1mmなので,非常に細かいパターンを印刷することは難しそうです.
  2. CraftRobo本体に,カッターと刃先調整キャップを装着します.図7にカッターと刃先調整キャップの外観を示します.キャップを変えることで,紙に触れる刃の長さが変化するようになっており,薄いラベルから厚紙までさまざまな用紙に対応できるようです.図8に,本体にカッターを装着した状態を示します.
  3. 用紙をCraftRoboにセットします.図9,10に示すように,手前の目印ラインにあわせて用紙を置き,手動でダイヤルを回して,紙をカッティング部まで引き込みます.
  4. トンボの自動読取を行い,問題がなければ準備完了です.
図5 レイヤー別カッティング線種の設定 図6 カッティング線種の詳細設定

図7 カッター&刃先調整キャップ 図8 カッターの装着

図9 用紙のセット1(紙を目印ラインにあわせて置く) 図10 用紙のセット2(左のダイヤルを回して紙を引き込む)
3.カッティングの実行
 いよいよ,カッティングを実行します.この段階ではユーザは特にやることはないのですが,(1)前後に十分なスペースがないと用紙が引っかかる,(2)動作音が意外とうるさい,点には注意が必要です.以下に,動作時のムービーを示します.
  • ムービー(mp4形式,約2分,約52M)
    ※手持ち撮影のため,やや手振れがあります.
4.切り離し
 無事にカッティングが終了したら, 完成した用紙から台紙をゆっくり引き剥がします.カットする形状が複雑な場合,一部最後まで切れていない部分も見られるようですので,その場合カッターなどを用いて丁寧に切り離します(図11〜13).
図11 カッティング済み用紙 図12 台紙を剥がす様子  図13 切り離し完了
5.完成
 あとは通常のペーパークラフトのように組み立てれば完成です(図14).
図14 完成したペーパークラフト(?)の外観
 




◆カッティング事例

ここでは,CraftRoboを利用して製作したいくつかのカッティング事例について紹介します.なお,上で紹介した事例も含めて,これらのサンプルはNew Encyclopedia of Paper-Folding Designsという書籍を元に製作したものです(図17).質の高い作品が多く紹介されており,EPSデータも付属していますので,興味のある方にはお勧めです.

 

 図15 作品1:バッグ型の飛び出すカード
(組み立てると中央のバッグのような形状になり,開けると右側のような飛び出すカードに変身します.)

図16 作品もろもろ
(ちょっとしたパンフレットなどに利用できそうなさまざまな形状のカードです.)
 
 図17 New Encyclopedia of Paper-Folding Designs
(現在,折り方大全集 カタログ/DM編 という名称で販売されているようです.)
 



◆おわりに

ここでは,Graphtec社のカッティングマシン,CraftRobo CC100-20について,製作例を示しながら紹介してきました.CraftRoboを利用すれば,立体的なポップやパンフレット,立体絵本や折り紙建築など,手作業では困難な印刷物や作品を比較的容易に構築することができます.価格も安価で応用範囲もなかなか広く,魅力的な製品と感じます.より詳しい情報については,以下の関連URLなどを参考にしてください.




◆関連URL
  • CraftRobo CC100-20
    カッティングマシンCraftRoboの製品ページです.
  • Graphtec社 ホームページ
    CraftRoboの製造メーカーのホームページです.業務用のプリンタやカッティングマシンなどを製作しているようです.
  • Modelaを用いた3次元スキャニングとモデリング
    より複雑な立体造形などに挑戦したい場合には,こちらのページを参考にしてみてください.
  • PIE BOOKS
    Paper-Folding Designs の出版社です.パンフレット・DM・広告をはじめとしたデザイン関連の書籍を多数扱っているようです.DM・チラシ分野に類似した書籍が見られます.
  • 茶谷正洋の折り紙建築
    一部で(?)有名な折り紙建築の本家のページです.完成度の高い作品が多数紹介されています.
 


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