ここでは，まず，FelicaTimecardを利用するために必要な事前設定などについて，説明していきます．

• 1.基本操作
  • FelicaTimecardでは，これまで紹介してきた基本ソフトウェアより，少しコマンドを簡略化してあります．
  • 開始
    • ソフトウェアを起動後，まず「管理（メイン）」タブの「開始」ボタンを押してください．
    • Felicaライブラリの初期化，Pasoriへの接続，連続読取の開始，をまとめて行います． --停止
    • Pasoriの読取を中断したい時は，「管理（メイン）」タブの「停止」ボタンを押してください．
    • 連続読み取りの停止，Pasoriからの切断を行います．
  • 終了
    • ソフトウェアの終了時には，「管理（メイン）」タブの「終了」ボタンを押してください．
    • 連続読み取りの停止，パソリからの切断後，ソフトウェアを終了します．

• 2.管理者の設定
  • 次に，管理者用情報の設定を行います．（設定を行う前に，「開始」コマンドを実行してください．）

• 管理者用のIDを登録
  • 管理者用のFelicaをPasoriにおいてください．
  • 「管理（メイン）」タブの「管理者設定」に，IDが表示されている状態で，「管理者登録」ボタンを押すと，IDが「管理者ID」リストに追加されます．

• 管理者情報の登録
  • 「管理者ID」リストに登録されているIDをダブルクリックすると，IDとユーザ情報の対応付けウインドウが開きます．
  • 「Name（ユーザ名）」，「画像ファイル（ユーザの画像）」，「URL（ユーザに対応するURL)」を入力します．（ユーザ名以外は任意です．）「登録」ボタンを押せば，対応付けは完了します．

• 3.管理者モードと運用モード

  • 管理者登録を行ったFelica IDを認識させると，「管理者モード(デフォルト)」，「運用モード」を切り替えることができます．管理者IDが一度認識されるごとに，「管理者モード」⇔「運用モード」をトグルします．

• 4.ユーザの設定
  • 次に，ユーザ情報の設定を行います．（設定を行う前に，「開始」コマンドを実行してください．）

• ユーザ用のIDを登録
  • ユーザ用のFelicaをPasoriにおいてください．
  • 「管理(ユーザ)」タブにIDが表示されている状態で，「ユーザ登録」ボタンを押すと，IDが「ユーザID」リストに追加されます．

• ユーザ情報の登録
  • 「ユーザID」リストに登録されているIDをダブルクリックすると，IDとユーザ情報の対応付けウインドウが開きます．
  • 管理者情報の登録と同じように，「Name（ユーザ名）」，「画像ファイル（ユーザの画像）」，「URL（ユーザに対応するURL)」を入力します．（ユーザ名以外は任意です．）「登録」ボタンを押せば，対応付けは完了です．
    • 登録するユーザの数だけ，この操作を繰り返してください．

• 5.設定
  • 基準時刻の設定
    • チェック時は，基準時刻(定時)よりタイムカードの時間が遅い/早い(遅刻/早退)場合，強調表示を行います．
    • 基準時刻は，24時間制で入力します．

• 6.設定の保存と読み込み
  • こららの設定情報は，プログラム終了時に自動的に保存され，次回起動時に読み出されます．

以上で事前に必要な設定は完了です．

• 次に，タイムカードの運用について説明します．
• 1.運用モードへの変更
  • 管理者IDを一度認識させ，「運用モード」に切り替えます．
  • 自動的にタイムカードのタブが表示され，タブ切り替えが無効になります．
• 2.管理者用タイムカード
  • 管理者用Felicaをおいている状態では，管理者用のタイムカード画面が表示されます．
  • 「表示するユーザ」から，ユーザを選択することで，任意のタイムカードを表示できます．
• 3.ユーザ用タイムカード
  • 登録済みのユーザIDが認識された場合，その日の出社/退社時刻が登録されます．
  • タイムスタンプから日付を判断し，一度目は「出社時刻」，二度目は「退社時刻」として登録します．
  • 三度目以降の認識時は，登録を行いません．

• 4.タイムカードデータの保存
  • タイムカードのデータは，"[アプリケーションの実行ディレクトリ]\timecard\[ユーザID].txt"に，タブ区切りのテキストファイルとして自動保存されます．

今回の記事を読んで，FelicaとPasoriを用いた本格的なシステム開発に興味をもたれた場合は，SonyからSDK for Felica Liteを購入してみてください．価格は約12万円（2004年2月現在）と個人レベルで買うにはやや高価ですが，リーダー(Pasori)の安さと SUICA/Edyの普及率を考えると，RFIDシステムの選択肢として考慮する価値はあると思います．

今回の記事では，FelicaとPasoriを用いたサンプルアプリケーションを例として，RFIDを用いた実世界システムの基礎につい て説明してきました．FelicaやPasoriは簡単に購入することができるので，是非実際に手元で試していただければと思います．今回紹介したシステ ムはシンプルなものばかりですが，アイデアと工夫次第ではもっと面白い/便利なシステムを作れるかもしれません．是非挑戦してみてください． 次回は，RFIDを用いたより応用的なシステムの構築について紹介する予定です．

今回のサンプルプログラムは，C#を用いて書かれています． C#の開発には，MicrosoftのVisual Studio .Netを利用するのが一般的ですが，プロフェッショナル版は実売約13万円と，個人で購入するには高価です． そこで，より手軽にC#開発を行うために，オープンソースのCSharp開発環境「SharpDevelop」を利用する方法があります． SharpDevelopを利用するためには，.NetFramework 1.1，および.NetFramework 1.1 SDKを事前にインストールしておく必要があります．これらは，マイクロソフトのWebサイトからダウンロードできます．また，日本語を利用するためには，設定でエディタ言語をUTF-8に，エディタフォントをMSゴシックなどに変更する必要があります． 残念ながらデバッガなどは付属していませんが，Visual Studio .Net をお持ちでない方は試す価値があると思います．